アニメ界の次郎系「七星のスバル」

あらすじ

世界的人気のあったMMORPG、「ユニオン」において伝説となったスバルという小学生のパーティがあった。とある死亡事故を契機として「ユニオン」はそのサービスを終了したことから、スバルのメンバーは散り散りになってしまう。しかし、その6年後スバルのメンバーであった天羽陽翔が「リユニオン」にログインした際に死んだはずの幼なじみである、空閑旭姫と再会する。

 

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評点 20点

 

視聴に至る動機

ここ数年の話題になったアニメに関して調べていた最中にブルーレイの売り上げ一覧なるものがありまして、そちらを閲覧していたところ驚きの数字を発見しました。

58枚

 

関係者の親族が買っただけでも達成しそうな数字です。キャラクタースリーブの枚数よりも少ないです。一体なぜこんなことになったのかとても気になり、見ることとなりました。

 

序盤

開始10秒

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ご覧のように残念CGのドラゴンが出てきます。残念CGを使うアニメは大抵が駄作になりがちという経験則があり、開始数秒で嫌な予感が止まりません。

 

評点から見ない人も多いかと思われるのでストーリーを完結に書いてみようと思います。

・小学生の最強パーティ「スバル」が有名になる。(ここの経緯や、どうして強いのかについての描写は無し)

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・ヒロインの旭姫が陽翔をかばいゲームオーバー

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・現実でもヒロイン死亡。ヒロインに思いを寄せていた貴法(たかのり)から恨まれる。ゲームも死亡事故をきっかけにサービス終了

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・6年が経ち主人公久々のログイン。死んでいたはずの旭姫と再会。旭姫の能力「プロフェアータ」が未来予知という稀有なものであるため狙われる。エリシアという協力者が現れる。

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・貴法と再会、咲月と再会。恋愛模様を展開しつつ和解。

 

・ゲーム内のセンス(能力)が現実に力を及ぼすこと、ユニオンというゲームはこの能力開発の実験場であったということ、プロフェアータが実は未来予知ではなく無数の世界線から未来を選びとるものであることが分かる。上位ギルドであるグノーシスが運営であり黒幕であり敵対することとなる。

 

・クライブ、希と再会。希といろいろあり敵対するが和解。

 

・スバル再集結。謎解きはこれからだ。

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文字でわかりにくいと思うが、回収されていない謎がとっ散らかってる。

 

1.なぜ旭姫はゲーム内で生きているのか?

 原作は完結しているので原作を読めばわかる話なのですが、原作ファンや既読者にはわかるように描かれるのはファンにはうれしいかもしれませんが、逆に言うと一般視聴者には親切ではありません。一時前のとりあえずアニメを作って宣伝しようというような2010年前後のエロゲ原作のアニメ化みたいです。自分の理解度が足りないのかもしれなせんが、科学者っぽいのに旭姫が囲まれるシーンから何となく現実にも生きているのかなという気はしますが、他にはわかるような描写が一切ありません。そして序盤こそこの問題に触れていたのですが、物語が進むにつれて主人公たちも触れなくなっていき一層この問題が空気化します。もちろんアニメの中ではわかりません。

 

2.エリシアはいったい?

 エリシアというキャラはどうやら仲間っぽいのだがどういう立ち位置なのかわかりません。ただ、タイトルが「七星」となっていて且つスバルのメンバーが6人しかいないことから、7人目で昔仲間だったが記憶が消されたような感じがうっすら読みとれるような描写があります。もしくはこれから仲間になって7人目!みたいな?

しかしこちらもアニメでは誰も教えてくれません。

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3.プロフェアータという能力

 8話でプロフェアータの能力の本当の解釈が判明しますが、結局どういうことだってばよ?という気持ちになります。無数のシナリオから自分が望むシナリオを選びとるという説明をされますが、過去にさかのぼり効果を発揮し現実を改変しているようなことが8話から読み取れ、突拍子がなさ過ぎて理解が追い付かない。さらに、プロフェアータによる世界のひとつで陽翔が6年眠ったままの世界で陽翔が目覚めた際にエリシアが説明してくれるのですが、なぜここにエリシアが干渉できるのか、特異点である陽翔という存在、謎は解決せずに増えるばかりです。このシーンで陽翔の「おい、待ってくれ。まだ聞きたいことがあるんだ!」というセリフがありますが視聴者も同じ気持ちだったと思います。

 

4.クライブというキャラクター

 10話あたりで謎の間があるシーンがあり、何か隠している素振りというのでしょうか、まだ何か秘密がありそうな感じがします。彼の話は過去回想少ししかないので謎だらけです。

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パーティメンバーの恋愛模様

アニメを見る限り下記の構図となります。御覧になってもらえばわかるようにあの花ことあの日見た花の名前を僕たちはまだ知らないにそっくりですね。故にネットではあの花オンラインなんて言われたりしています。「どうせアニメ自体は最近だけど原作は古くてパクリとは言わせない感じなんだろう?」と思ったそこのあなた。この作品原作小説の1巻が発売したのは2015年であの花ブームの後になります…

 

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俺はパクリだとか偶々似ているだとかは割とどうでもいいことだと思っています。問題は貴法くんです。彼の立ち位置は上の構図に示したようにヒロインに思いを寄せるも主人公に負ける残念男子の立ち位置です。上記のストーリー紹介で説明したように和解するまで死亡事故について逆恨み(?)をし徹底抗戦している彼が主人公に旭姫を明け渡しなおかつ最終話で希といい感じになります。一貫性を感じなさ過ぎてイラッとさえ来ます。貴法のセリフに

「旭姫が出られないのならば、ぼくは彼女のそばでずっと支えるつもりだ」

 

「彼女と同じ生を歩む。それが一生を懸けた僕の誓いだ。陽翔、お前にここで生き続ける覚悟はあるか?」

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というのがあります。こんな熱いセリフを放っていた彼があっさり身を引くことが理解できません。殴り合いの後にもあきらめきれない描写があります。ダンス断られる描写とかは割と描いてほしかったなぁ

 

脚本の散らかり

この作品、恋模様だけでも1つの作品として成り立つぐらいなのに、SAOのようなMMORPG要素も取り入れています。加えて8話では旭姫がもつプロフェアータという未来予知の能力が実はシュタインズ・ゲートさながらの世界線を変えることができる能力であることが明かされます。この大量の要素を見てふとあるものが思い浮かびました。

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そう二郎系ラーメンです。

まるでアニメにおける次郎系、ヤサイマシマシカラメマシアブラスクナメニンニクでは?と思いおなか一杯になりました。ここで、一つ驚きの情報を加えるとこのアニメ1クールの12話で終わります。これは小さい器に次郎を乗せるようなものです。

 

 

残念戦闘シーン

多くの方が指摘しているが戦闘シーンが残念すぎます。

 

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極めつけはこれです。このシーンはキャラクター達のセンスという特性のようなもの合わせた連携攻撃のシーンなのですが、一人で舞ってるようにしか見えず、終いには自分たちで仕組みを説明してしまうダサさ。こういうのは敵やほかのキャラに解説させるのがクールだと思います。

 

ヒロインがあんまりヒロインしてない

目覚めたときの会話で6年前のことを昨日の出来事のように語るヒロイン。つまりヒロインの精神年齢は小学生のまま止まっています。微妙に幼稚さも残しつつ主人公に対する想いもあるというのを描写したかったのだと思うのですがイマイチ伝わりませんでした。両想いなんだろうけど小学校の時の想いなんて6年もすれば変わってしまうもの…

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それよりもさつきです。6年たっても思い続けてるのに会うのは6年ぶりっていうのもよくわかりません。もうちょっとちょっかい出すも卑屈な主人公が拒否するぐらいの過去描写が欲しいなぁと。しかし、ヒロインとしては非常に優秀で、この作品のなかで一番魅力的なキャラクターだと思いました。鬼頭明里さんの声を虚構推理などほかの作品でも聞いたのですが伊藤かな恵さんに近い声質な気がします。伊藤かな恵さんみたいな印象でこの手のツンデレキャラはぴったりで、それゆえに惹かれたのかもしれません。

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そして、希です。この子は登場が一番最後になったせいか詰め込み感がすごいです。悪く言えば雑。まあ感情移入なんかできません。

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妹は出番少なすぎましたが、その割にはテンポをコントロールしていて、最初と最後の兄の印象を語り、陽翔がなにかを乗り越えた感じを演出させてくれます。ここはよかったと思います。

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最後に 

序盤から物語の要素としてはてんこ盛りだったのにも関わらず更なるブーストをかけてぶくぶく膨れ上がったものを完全放置で終わったように演出するが何も解決していない。

この脚本に加え、この作品にかかわるプロデューサーの未成年者誘拐による逮捕。この年のアニメ円盤自体の売り上げの落ち込みなど様々な要因が絶望的な円盤売り上げにつながったのではないでしょうか?

 

せっかくのタイアップだったpetit miladyには泥を塗る形となってしまいましたね。おそらく2期もないのでしょうが、時間ができたら原作を読んでは見てどうしてこうなったのかを考えてみたいと思います。