未完の作品「ゾンビランドサガ」

あらすじ

2008年、高校2年生になった源さくらは、東京のアイドルオーディションを受けようと決意し、郵送する応募書類を片手に登校しようと自宅を出た途端、軽トラックにはねられてしまう。

2018年、とある洋館で記憶を失ったまま目覚めたさくらは、突然ゾンビの少女たちに襲われて外に逃げ出すが、自身もゾンビと化していることに気付く。そこに現れた青年・巽幸太郎から、佐賀県の認知度を上げるご当地アイドル企画「ゾンビランドサガプロジェクト」のため、自分がゾンビとして甦ったことを知らされる。さくらは自分と同じくゾンビとして蘇った二階堂サキ水野愛紺野純子ゆうぎり星川リリィ山田たえの7人でアイドルグループ「フランシュシュ」を結成、活動を開始する。

ゾンビならではのトラブルやメンバー間の不和を乗り越え、アイドルとして成長していくフランシュシュは、地元佐賀の人気者となる。単独ライブを控え、再び軽トラックにはねられたさくらは、ゾンビになってからの記憶をなくし、生前の不運な記憶を思い出す。ネガティブになったさくらは活動意欲をなくしてしまうが、メンバーたちの励ましでステージに立つ。豪雪でステージが崩壊するという大ハプニングにも負けず、フランシュシュは歌い続ける。さくらは記憶を取り戻し、メンバーと和解。アンコールの声に応え、7人は再び歌い始めるのだった。*1

 

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  ゾンビランドサガ
話数 全12話
制作会社 MAPPA
監督 境宗久
評点 55点

 

視聴動機

 2019年といえば話題になった作品として「五等分の花嫁」とこの作品を挙げる人が多いと思う。さらに、OPテーマの「徒花ネクロマンシー」は耳に残りやすいキャッチーなメロディーに加えアニクラにいけば聞く機会も多く、いつか見ようとは思っていたためこの機会にといった運びになった。

 

あらすじが少々長くなっていて見ずらいかと思うので簡潔にまとめると

 

ゾンビが佐賀で、アイドルを目指す!!

 

以上だ。

 

??となった人や”サガ”があの佐賀県であることを知らなかった人もいたかもしれない。なんで佐賀?そう思う人も多いと思うが、まず佐賀県の場所から確認していこうと思う。自分は隣県に住んでいるので行ったこともあるのだが、九州にいない人は知らない人も多いだろう。九州外の人は滋賀と佐賀とか区別がついていないこともあったり。

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実はこの作品、制作にCygamesが関わっており、Cygamesの社長である渡邊耕一さんの出身地である佐賀県を舞台としたアニメをという依頼があったことからこの作品が出来上がったそうだ。(ちなみに神撃のバハムートの1キャラからインスピレーションを得たらしい)

このアニメストーリー自体は既存のアイドルアニメと大きく異なることはなく、苦難を乗り越え絆を深めアイドルとしてのし上がっていくという話なのだが、圧倒的に他作品と違うのはその設定にある。

 

そう、主人公たちアイドルが全員ゾンビなのである。

 

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この設定こそがこの作品のオリジナリティである。この作品の中で様々なギャグシーンが出てくるが、この設定がここで効いてくる。ゾンビならではのギャグとツッコミが成立し、それが分かっていても面白い。笑いのツボは人それぞれ異なると思うが個人的に面白かったシーンを厳選してみた。

 

その1 開幕軽トラ登場

 この作品は開始30秒くらいは学園青春ものさながらのスタートを切る。主人公らしき女の子がこれからの生活を予見し期待に胸を膨らませ登校をし、今から角で転校生と出会おうかという勢いで家を飛び出る。しかし、その予想を1分もしないうちに裏切る軽トラの入場。ここはシンプルに面白いし、開幕すぎて笑ってしまうw

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その2 山田たえ

 このキャラクター、実は、三石琴乃さんという大御所(初代セーラームーンや、エヴァミサトさんなど)が担当しているのだが、最終話までまともな日本語を一切話さない(笑)それでいて時にトラブルの種になったり感動の種になったりと影のキーマンである。話さないキャラクターだからこそ実力を兼ね備えた声優が起用されたのかもしれない。

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その3 ふれあい館でライブをするシーン

 先ほども述べたように自我に目覚めていないたえちゃんによってライブがひっかきまわされる。ライブ中に観客のするめにたえちゃんがつられ、それを制止するさくらによってたえちゃんの首が取れてしまう。

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さくらが機転を利かせ一生懸命手品の類であることをアピール

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体だけどこかへと彷徨ってしまう(笑)

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そのデビットカッパーフィールド*2も真っ青になる手品で観客から受けを得たことに味を占めたサキが首をとって遊びだす

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 最終的にさくらがキレてたえちゃんの頭を吹っ飛ばし、ラップバトルが始まる。ここのラップバトルは非常に面白く、しかもイベントにおいて声優たちが実際に再現しているのだが、これが最高に熱い。またやってくれるのを期待して、2期のイベントがあればぜひ足を運びたいものだ。

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その4 ドライブイン鳥での暴食

 ドライブイン鳥にてお食事をいただくシーン。たえちゃんが生の鶏肉にかぶりつき、店員さんがいくら何でもそれは…とドン引き(笑)店員さんが嫌いなパターンの素人起用だが、今回はお店絡みだし、さすがに妥協します。(なんと社長さんが演じてたらしい、ちなみに本人にそっくりに描かれてた(笑))

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 その5 ガタリンピック

 ここは綺麗に構想されていて落ちまでいい構成でした。

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その6 愛ちゃんの決意

愛ちゃんがアイドルのジェネレーションギャップを乗り越えて活動を決意するシーン

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するも車に引かれてしまう(笑)

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その7 リリィの話

 まずお父さんでかすぎやろ(笑)身長3mくらいあるんか?(笑)

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そして衝撃の死因(笑)感動の過去話のはずなのにギャグすぎる

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その8 最終話

 ライブステージが雪の重みで崩落し、大惨事。いくら何でもやりすぎ(笑)しかし、この中アイドル達はあきらめずにステージを完成させようと頑張る。

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 ほかにも細かいところでいろいろあるが、文字や画像だとあまり伝わらないと思うので気になる方は作品を見てみてください。

 

伏線回収

 この作品、ちりばめられている伏線が無数にある。ネタバレをしてしまえばその6割近くが回収されず、含みを持たせ続編をにおわせている。1クールでそれを描くのが難しいとかいろんな理由があるんだろうが、作品を評価するうえで伏線は回収のされ方や展開が大きなポイントとなるため、非常に評価がしがたい。1クールでもきれいにまとまった傑作は多数存在する。その点からもこの作品に甘えた評価はいらないのかもしれない。2期が決定しているらしいのがせめてもの救いだ、どこかの次郎系アニメとは違う。

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気になる演出

 サキちゃんの回でリアクションエフェクトが底辺youtuberみたいで気になった(表現が不適切で申し訳ない。)謎のエフェクトが気になってあんまり話が入ってこなかった。ヤンキー出身のサキちゃんの話であるため他と雰囲気を変えたかったのかもしれないが違和感がすごかった。

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楽曲

 徒花ネクロマンシーをはじめとして非常にキャッチーなメロディでOPは戦隊者の雰囲気を感じる。この作品も最終話だけOPにSE(サウンドエフェクト)ありパターン。劇中歌もいいものが多く、TRUEさんとかそこらへん関係が作曲作詞に絡んでたりする。次イベントあれば行きたいぞ

 

ライブシーン

 ライブ演出になるとありがちな3D演出。一部そうでないライブシーンも存在するが、あれはいいと思われてるのか自分は甚だ疑問である。作品の調和という観点からもあまり好きになれない。ライブシーンなどよく動くシーンは経費削減などのために3DCGを使っているのだとしたらやめてほしい。作風に合わせた統一感これが欲しい。やるなら背景とかも合わせてほしい。

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 総評

 この作品は設定こそは新しい。ゾンビ関連の作品といえば普通ゾンビを駆逐し、人間が主人公というのがスタンダードだ。しかし、そのゾンビを主人公にしたというのはクリエイティブなのだが、その割にはストーリーの骨子は普通のアイドルものとあまり変わり映えを感じなかった。ギャグ要素はその恩恵を受け面白いものとなっていたが、この作品をギャグアニメというジャンルで括る人は少ないと思うし、本質はご当地アイドルアニメでラブライブサンシャインなどと同じものなのだと思う。

 なるほどと思わされたのは、水野愛がチェキ会を受け入れられない話だ。これはゾンビアイドル達がさまざまな時代から集められたがために、アイドルの歴史の中での立ち位置やスタンスの変遷に違和感を覚え葛藤する。これはアイドルというそのものの存在の意義や本質を問い直すというテーマなのかもしれないと深く考えすぎかもしれないが感じた。

 やはりなんといってもちりばめられた伏線が放置されていることを黙殺できない。なぜ巽幸太郎は佐賀を盛り上げようとするのか、回想でさくらから乾くんと呼ばれていたのはだれなのか、バーのマスター、どうやってアイドル達を選んできたのか、さくらとの関係は?など上げたらキリがない。この伏線未回収の部分が非常に評価を難解にさせており、2期の演出に依存するとしか言いようがないが、全体としては綺麗にまとまっていたと思う。しかし、ストーリー自体は既視感を覚えるものが多く、その点でも評価が難しい。その点が投げやりに感じたのでそこに含みを持たせ55点という評点にしました。ちなみにこれは調べて分かったのだが、乾とは東洋で方角を表す際に巽の反対の位置に当たるらしい。ここまで2期に盛り込まれてたらうれしいな。

 本渡楓さんがほんまに好きになったかもしれない。金元寿子さんや豊崎愛生さんをはじめとして、天真爛漫で純粋無垢に明るい子に似合う声が本当に好きだ。サキちゃん演じる田野アサミさんの歌唱力はピカイチでラブライブサンシャインでも素晴らしいなと思っていたが「DEAD or RAP!!!」でのラップもめちゃくちゃサマになっていたと感じた。

 最後にデビットカッパーフィールドの画像でお別れしたいと思います。

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*1:wikipedia参照

*2:胴体分離で有名なマジシャン。参考画像下記参照